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2011.03.19

温度差

震災から1週間が経ち、被災地では未だ困難な状況が続いている。

僕の身近な人達・・・同僚の1人は、一昨日の夜に連絡が付かない宮城の祖母の家に向かった。
福島第一原発から30kmくらい離れた所に実家がある子もいて・・・家族はギリギリまでいたけれど、山形の親戚の家に疎開したらしい。

僕が住んでいる東京でも、買い占めの為、コンビニやガソリンスタンドから物が無くなった(これは本当に止めるべきだと思う)し、計画停電も続いている。

幸い僕は中野区に住んでいるので、電気も来ているし、水道・ガスも問題無い。
元々自炊する関係で、お米やカップ麺等、ある程度の食料の蓄えもあったし、電気の使用量が多い日中は、基本的に寝ているようにして、(このブログもそうだけれど)夜以降に活動するようにしている・・・引っ越しを機に、ご飯は土鍋で炊いているし、部屋の照明は(映画モードで)暗く落とす事も出来る。
普段の生活を徹底する事で、自分なりに現状に配慮した生活を送っているつもりだ・・・これくらいしか出来ないのが、歯痒いけれど。

ところで・・・本来であれば、この時期は毎年プロ野球の開幕で盛り上がっているのだけれど、こんな状況では、今年は流石に延期だろうなぁと思っていた。
しかし、3月17日に日本野球機構(NPB)での会見で、セ・リーグは予定通り3月25日に、パ・リーグは延期して4月12日に開幕すると言う発表があった。
これには驚いた・・・唖然とした。

「セは延期する理由は無い」
(中日ドラゴンズ:西脇紀人球団代表)

何故、延期する理由が無いのだろう?(注1)
確かに、宮城県に本拠地を置く楽天ゴールデンイーグルスのように、直接的に被災している球団は無いけれど、その半分の球団は、関東に本拠地がある。

開幕戦のカードの中には、読売ジャイアンツvs横浜ベイスターズと言う、東京ドーム3連戦があるけれど、計画停電が行われている現状で、ドーム球場で(照明機器や空調等の)大電力を使用する気なのだろうか?
もっと言えば、東京ヤクルトスワローズも、阪神タイガースとの神宮球場3連戦・・・開幕戦はナイターだ。

僕を含めて、都内で節電している人は大勢いる・・・寒くなる(=暖房を使う)からと言う理由で、大規模停電の恐れが言われているくらいだ。
ナイターをやっている夕方→夜の時間帯に、電車の運行だって制限されている現状で、お客さんの行き帰りを、どう保証するのだろう。
来週に電力が回復するなんて根拠が、あるとでも言うのだろうか?

大規模停電の恐れがある場合は中止なんて、新純生セ・リーグ理事長(東京ヤクルトスワローズ常務取締役)が呑気な事を言っているけれど、停電するかどうかは、その日の(電力量の)消費予想と照らし合わせながらの、とてもデリケートな物だ。
(そもそも大規模停電どころか、計画停電の影響で、日々の暮らしに影響のある人だっている)

しかも、そうした中止試合は、雨天中止と同じ扱いとして、予備日に組み込む考えらしい。
基本的にコントロール出来ない降雨と、みんなの努力で何とか出来る電力量を同一に考えるなんて、こんな不謹慎な考えをサラリと言える感覚が、僕には理解出来ない。
(その日の試合があるのか無いのか、お客さんにとっても、混乱するだけだと思うし)

更に恐ろしいのは、16日に都内のホテルで行われた、ジャイアンツを応援する財界人の集いである「第19回 燦燦会総会」での関係者のコメントだ。
(こんな時期に、こんなイベントを都内で開催する事すら、恥ずかしい事なのに)

「開幕戦を延期しろ、とかプロ野球をしばらくやめろ、とか俗説もありましたが、戦争に負けた後、3カ月で選手、監督の方から“試合をやりたい”という声が上がってプロ野球が始まったという歴史がある。フェアプレー、緊張した試合をすれば見ている人は元気が出て、エネルギーが出て生産力が上がる」
(読売ジャイアンツ:渡辺恒雄球団会長)

この人の馬鹿さ加減は、今更言うまでも無い事だけれど・・・。
戦争に取られて野球が出来なくて・・・終戦して、また出来ると思って始まった(注2)のとは、意味合いが全く違うだろう。
少なくとも、選手会レベル(=選手の側)では「やるべきでは無い」と言っている訳だし。
しかも、戦後行われた試合はデーゲームで、ナイターでは無い。
何よりも、被災した人達は、その「試合を見る」と言うのが一番難しい(それどころじゃ無い)状態なはずだ。

「経済活動を停止したら日本社会は沈没するだけ。何でもかんでも自粛すれば良いという物じゃない」
(読売ジャイアンツ:滝鼻卓雄オーナー)

一理あるように見えるけれど、微妙に論点をズラしている。
自粛(=試合をしない)の話をしているのでは無く、あくまでも開催日の延期の話をしている(選手会も、144試合を圧縮して、ダブルヘッダーにしても良いからと言っている)はずだ。
繰り返しになるけれど、問題は電気の使用に関しての事で・・・それは自粛すべき話だ。

「我々ジャイアンツは勿論、ここにお集まりの方、ジャイアンツファン、国民全員が被災地、被災者の方を救う事を決意したい」
(読売ジャイアンツ:原辰徳監督)

被災地・被災者を救うのであれば、東京ドームで開幕をして大電力を使う事が、どれ程それを妨げる行為になり得るのか、単純に想像出来ないのだろうか?
(こんな愚かな行為を、勝手に国民全員を代表したように発言してもらっても困る)

そして、情けない事に、本来それを諫めるべき立場であろう加藤良三コミッショナーまでが、

「世論の賛否両論は、十分理解している。私も多くの方から意見を頂いた。復興の目処がつくまでじっと待てばいいのか。国難の時こそ真剣勝負を見せるのが責務。野球を通して日本に、世界に元気を与えるのが(球界の)使命だ」

先の会見で、こんな事まで言っている。

復興の目処がつくまでじっと待てばいいのか・・・復興の目処なんて言っていない。
今はまだ、復興以前の話・・・電力の目処の事を言っているのだ。
(この発表に驚いたであろう文部科学省から、計画停電が行われている東京電力・東北電力管内では可能な限り試合を開催しないよう、早速コミッショナー宛に通知が出されているらしい)

確かに、開催まで後1週間と言う現状で、日程を変更する事は、大きなリスクを伴う事だと思う・・・パ・リーグですら、本音は延期したく無い事だろう。
しかし、今必要なのは、決めた事を変えない事では無く、それを変える(関係者全ての)勇気や努力だと思う。
国難の時でさえ、パ・リーグとセ・リーグで足並みを揃える事が出来ないプロ野球・・・そうファンに見られる方が、どれ程のマイナスイメージなのか、それをもう一度良く考えて、違う結論を出して欲しいと思う。


注1:追記的な話になるけれど、色々な伝わっている情報を総合すると、このコメントには、伏線があるらしい。
当初行われたセ・リーグ理事会では、ドラゴンズは延期を臨んでいたらしい。
つまり「(延期するべきセ・リーグの球団が、延期を望まなかったから)セは延期する理由は無い」と言うのが、本当の言葉の意味だと思われる。
延期を望まなかったセ・リーグの球団とは・・・言うまでも無い。
(昨日「監督官庁の指導には従う。それは間違い無い。通達通りに行くと、(開幕カードで)関東の試合は無くなる。中日と広島だけの試合になるという実情も考えないと」とも述べている)

注2:終戦後3ヶ月後と言う事から・・・これは、昭和20年11月23日に神宮球場で行われた、東西対抗戦(今で言うオールスターの原形)の事だと思われる。
実際にプロ野球が再開したのは、昭和21年から。

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