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2012.04.24

パンドラの箱

任天堂は、インターネット配信番組「ニンテンドーダイレクト」にて、4/25(水)に行うニンテンドー3DS本体のアップデートにより、パッチ(注1)を当てられるようにする事を発表した。

発表その物は、任天堂・岩田社長がサラッと言っただけだったので、非常に地味だった(笑)けれど、かなり大きなニュースだと思う。
一番大きな利点としては、ゲームに致命的なバグがあった場合でも、後で改修する事が可能になる事だ。

勿論、それが目的の話ではあるのだけれど、ゲームソフトにおけるパッチと言う対応は、本体の中に書き換え可能な大容量記憶媒体(=ハードディスク)を持つパソコンが専門分野だった。
最近では、ハードディスクを積むようになった据え置き(コンシューマ)機でも可能になっている事だけれど、持ち運んで使用する事が前提の携帯機で、こうした対応が出来るようになる事は、とても画期的な事だと思う。

具体的には、発表の中でもあったけれど、「マリオカート7の特定のコースで、本来意図していないショートカットが可能になる」「キングダムハーツ3Dで、特定の条件下でゲームを進行させられなくなってしまう」等の対応が、このアップデートによって行われるそうだ。

パッチを当てられる事で、「(後で修正出来るから)ゲームとしての作りが甘くなる」と考える人もいるようだけれど、業界の内側にいる人間としては、この点は違うと・・・むしろゲームとしての作りはしっかりすると思う。

何故かと言えば、昔のゲーム・・・僕の考える昔は、相当前になっちゃう(苦笑)から、例えばPS2の時代と比較しても、現在のゲームは、相当複雑になっているからだ。

ゲームと言うのは、基本的にゲームハード上で動作する1つの完結した(プログラミング)システムを、1から10まで開発している(例えば続編の場合でも、そう言うケースはあるはず)訳だけれど・・・現在のゲームハードは、一昔前のスーパーコンピューター並の性能になっている。
(流石に携帯ゲーム機は、それよりは落ちるけれど、高性能である事に違いは無い)

単純に言えば、それに合わせた開発が必要になっている訳で、人数・予算(=開発費)・開発期間等は肥大化する一方で、付いていける(国内)メーカーは、相当限られて来ていると思う。
(現在付いていけるゲームメーカー・・・バンダイナムコやスクウェア・エニックス等、ゲームメーカーの再編が最も進んだのは、PS3登場前の話・・・その当時から、既に開発費の高騰に対処する事は、最重要課題だった訳だ)

そして・・・ゲーム開発の仕上げである「デバッグ」(=プログラムの誤りを発見し、取り除く作業)の負担も、当然大きくなっている。

ゲームにおけるデバッグは、例えば、「バグを発見する」→「バグを修正する」度に、(修正したバグが直っているかの検証が必要なので)工程的には1からやり直しとなる。
しかも、ゲームのシステムが複雑になる程、複合的なバグの可能性もあり得るので、その検証も必要になる。
(ゲームソフトの発売日延期は、残念ながら「よくある」事だけれど、その多くは、ここに起因していると言っても良い・・・不具合によっては、半年以上をデバッグに費やすメーカーもあると思う)

しかもこれらは、完全に手間だけの話だけれど、実際は即デバッグにおける費用に繋がってくる。
通常の場合デバッグは、専門のデバッグ会社が賄うのだけれど、結構馬鹿にならない見積もりを出してくる。(笑)
費用と言う上限がある以上、デバッグ出来る「期間」も(ある程度)限られる事になる。

こうした条件の中で、現在の複雑化したゲームシステムの不具合を全て(デバッグで)取り除く事は、非常に難しい。
例えば、先に書いたアップデートを行う会社は、任天堂とスクウェア・エニックス・・・日本のトップメーカーが行う開発体制(しかも、力を入れているであろうタイトル)ですら、こう言う事態が起こり得る訳だ。
(補足:「NEWラブプラス」のコナミデジタルエンタテインメントも、更新データの配信によるバージョンアップで不具合対応する方針を発表した)

「パッチ対応は、パソコン(ゲーム)が専門分野」と書いたけれど、これは開発における余裕を生み出すと思っている。

これは、デバッグを疎かに出来る(=手抜きが出来る)と言う意味では無い。
パッチが当てられないコンシューマー機のゲームは、致命的なバグがタイトルにとって命取りだった・・・なので、今まで必要以上に(完成度を高める為に)かけていた時間や予算を、必要な物だけに集中する事が出来る訳で、そのメリットは、最終的には必ずユーザーが享受するはずだ。

恐らく3DSは、機能としてパッチを当てる事が出来るように、最初から考えて設計されていたと思う・・・恐らく、こう言う時が来るのを見越して。
パッチを当てると言う文化は、まだまだ日本には浸透していないと思う(注2)けれど、封印を解いた3DSで何が出来るのか・・・パッチを当てるだけでなく、同様の技術を利用しての追加データ配信等、ソフト的な期待もしてみたいと思う。


追記:3DSのアップデートは、予定通り行われた・・・勿論、見た目の違いは分からない。(笑)
マリオカート7持っているから、試してみようかな。
(今、ずっとモンハン3D刺さってるから・・・。 笑)


注1:コンピュータ(ゲーム)におけるパッチとは、プログラムの一部分を更新して、バグの修正や機能変更・追加を行なうためのデータの事。
「パッチファイル」「差分ファイル」「修正プログラム」と言った不具合の対応から、「アップデート(プログラム)」等まで、幅広い形式が存在する。
「パッチを当てる」とは、このプログラムを入れ込む(更新する)事を言い、パソコン等の場合には、更新によってVer値が上がるのが普通。
(Ver1.0.0 → Ver1.0.1 等)


注2:これは日本と外国・・・例えばアメリカ等との文化の差でもあると思う。
Xbox360の洋ゲーなんか、作りを見ていると、完璧にパッチありきの考えだと・・・アメリカなんかは極論すれば「不具合あったら直せば良いじゃん」って、絶対考えてると思う。(笑)
穿った見方をすれば、任天堂はそれがあるからこそ、今までこのアップデートをしなかった(見極めていた)んじゃないかな、と思う。

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