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2016.08.13

男女の壁

8月2日に行われた、第98回全国高校野球選手権大会の開幕に合わせた(出場校による)甲子園練習で、大分高校野球部の女子マネージャーが、ユニホーム姿でノックの補助をしていた事を大会関係者から制止されて、規則違反としてベンチ裏に下げられたという出来事が、波紋を広げている。

制止された理由は、実に簡単・・・ルールがあるからだ。

甲子園出場校には、「代表校・応援団の手引」という物が配布されているそうなのだけれど、この中で、

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4・試合の注意事項

(6)練習補助員・ボールボーイ 守備練習には練習補助員(男子部員に限る)が5人まで参加できます。
補助員はトレーニングシューズとし、ノックは受けないでください。
ノッカーと補助員がグラウンドに入れるのは、この時だけです。
終わったらすぐに退場してください。
補助員が記録員を兼ねることもできます。
また、補助員の中から試合中のボールボーイを両校各3人出してください。

(7)記録員 1人がベンチ入りできます。
所属連盟に登録された部員で、当該校の生徒であれば男女は問いません。
また、試合ごとの変更も可能です。
試合前の練習や試合中にグラウンドに出てはいけません。

----------------ここまで---------------

このような規定が存在している。
これに沿っていけば、女子部員は練習補助員になれない事になる・・・記録員にはなれるけれど、記録員はグラウンドに入れないので、女子部員はグラウンドに入れなかった、という話だ。

波紋を広げていると書いたけれど、批判的な物が圧倒的に多い。
ネットニュースの書き込みは勿論、著名人と呼ばれる人も、

「高校野球自体はすばらしいスポーツの祭典だと思いますが、「丸刈り」を含め、謎の様式美、禁則が多すぎますね」(茂木健一郎さん)
「世の中と最もずれている競技になりつつある」(為末大さん)

こんな感じで、ネットでの意見も、概ねこれに沿った話になっている。
ただ・・・個人的には、そんなに批判するような話なのかな?と思う。

確かに女子マネージャーだってチームで戦っているんだから、練習くらい参加させても、という気持ちは理解出来るけれど、それは感情論に過ぎない。
「出させたいから出られる」のであれば、ルールなんて意味の無い物になってしまう。

何故女子部員が練習補助員になれないのか?
高野連(日本高校野球連盟)によると、安全面の理由が第一であるらしい。

実際に13日に、阪神甲子園球場内で技術・振興委員会が開かれて、この問題が協議されたのだけれど、
「試合に出場できない女子に負傷のリスクを負わせるのはどうかという意見が大勢だった」(竹中雅彦事務局長)
という事だったそうだ。

個人的には、理屈に沿った理由だと思う。
練習の時間は試合と違い、複数のボールが飛び交う事になるから、女子かどうかは置いておいても、野球経験という意味でも少ないであろう(少なくとも、甲子園に出場出来る選手よりは相当少ないだろう)人間がグラウンドにいる危険性(注1)は、否定出来ない。

もっと言うと、プロ野球等でも、練習中のケガが決して少なくない事からも、これは理解出来ると思う。
プロの選手でも負傷のリスクがあるくらいの事であると言える訳で、その意味で、何が謎の様式美・禁則なのか、何がズレているのか、僕には逆に分からない。
(ってか、野球に限らず、どんなスポーツでも、逆の性別の人間が練習に参加するスポーツって、ほとんど無いんじゃないかと思うんだけど・・・。 苦笑)

但し・・・高野連の考えが支配する高校野球の世界において、女性の参加が遅れている事実は、確かに存在している。
根本的な話として・・・高野連の規則では「医学上男子でない者」は、公式戦に出場する事が出来ない(注2)から、これをどうするのか?という問題も存在している。

でも、実際問題、練習の手伝いをしている女子部員は普通にいるだろう(この女子マネージャーも、普段やっていたかも知れない)し、地方大会レベルでは女子の練習参加を認めているケースも多いだろうと思う。
男子だけで賄いきれない野球部(大会運営を含む)なんて、少子化の現在では珍しく無いだろうからだ。

その意味では、何故駄目なのか?では無く、どうしたら参加出来るようになるのか?を考えるべきだと思う。
負傷のリスクは確実にある訳で、それをどれだけ減らす事が出来るのか・・・そこをクリアしなければ、本当の解決には至らないだろう。
(防具を着けるとか、色々な防護策は可能だろうと思う)

物珍しさだけで女子部員が見られる現在(これが問題になる訳だからね)では、正直まだ遠いなぁとも思うけれど・・・どちらの側も、是非前向きで客観的な検討を重ねて、現状に即したベストなルールを生み出して欲しいなぁと思う。
個人的には・・・やっぱり「野球狂の詩」の水原勇気みたいな女性選手が投げる日が来ないかなぁと思ってるからね。(笑)

注1:2010年に札幌ドームで行われたプロ野球の試合で、観戦していた30代女性がファウルボールが右目に当たって失明したという事で、北海道日本ハムファイターズに対して、約3300万円の支払いを命じた札幌高裁判決もある。
グラウンドにいなくとも、硬球が直撃する危険性はある訳で、練習中のグラウンド内であれば、その危険性は上という事が言えると思う。
同様の事で、始球式では女性が投げているから構わないじゃんという意見もあるけれど、始球式では普通、打ち返さない訳で、危険性があるという論点からは外れていると思う。

注2:今回の問題は、練習での話ではあったのだけれど、試合に準じるという判断があってNGになった。
ちなみにプロ野球では、女子選手の参加は(同様の「医学上男子でない者」云々が撤廃されているから)可能。
(単純にプロのレベルに達する女子選手がいない事から、プロテストへの参加くらいで、実現はしていない)

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